女の人にはわからないだろうが、男にとってエロのモザイクは邪魔でしょうがない。
とはいえ、現代はちょっと工夫すれば誰でも無修正の動画やイラストが観れる時代にはなった。インターネットの功績は大きい。
世界はどうあれ、日本の法律で禁止されたままなのは異常だ。いつまでも政府からの人権侵害を振り払えないのは、実質的な立憲主義の敗北を意味する。
女の人のなかにも「もう簡単に無修正観れるんだからモザイクいらないよね」という人もいるかもしれない。
いつまでも日本のエロ界からモザイクが消えない根深い理由がある。
モザイクは法曹のせいで消えない
それは、さかのぼること最古の哺乳類が生きた三畳紀……ではなく、憲法制度のせいである。
この制度に異を唱えることができるほどの知性を持ち合わせた法曹が、ほぼ皆無だ。(ロースクールや司法試験予備校では、論証集などでむしろ肯定的な立場を取らされる)
付随的違憲審査制
民主的な過程を経て国会で作られた法律であっても、それが人権を侵害するものだった場合は、裁判によって無効を宣言させることができる。
※最高裁の判決を得るまでもなく無効、人権侵害の法は効力を持たない、というのが本来の憲法の趣旨。
いわゆる違憲審査制である。(昔は、違憲立法審査権とも)
日本は過去の判例によって抽象的違憲審査制ではなく、付随的違憲審査制を採用することになった。 *警察予備隊違憲訴訟など。
日本の司法は市民を護る判決をなかなか出さない。司法が市民を救わない現代の司法消極主義の根本原因である。
日本の司法消極主義は、それはもう凄まじい。ヨーロッパやアメリカの裁判ならば市民が勝訴するはずの常識的な裁判も、わが国では負ける。だいたい、戦後80年で法令違憲の判決は13件という異常な少なさだ。
付随制は少し難しいので、簡単に言ってしまうと、
人権を侵害する法令が国会で作られたとしても、ただちに憲法違反だと廃止させるべく訴えることができない。(ヨーロッパならできる。アメリカは同じ付随制をとるが公共訴訟のルートが豊富)
①誰かが当事者になる必要がある。その悪法の犠牲になり、②国家賠償請求訴訟や刑事裁判のなかで、その法令の憲法違反を主張するしかない。(まさに事件に付随させるしかない)
民事法ならば、まだなんとかなりそうだ。 しかし、違反したら懲役刑など罰則がある刑事法の当事者になるときってどんなときだろうか?
この記事のタイトルにあわせるならば、たとえば、
無修正のイラストをネットに公開したことによって、刑法第175条のわいせつ物頒布等罪によって逮捕され刑事裁判にかけられたとき。ここではじめてこの法令が憲法違反だと裁判で争えるのだ。
日本の裁判の原則に、自由心証主義というものがある。最後は裁判官の心証で決めていいというもの。
しかし、罪を認めずわいせつ物頒布等罪が憲法違反だと主張すれば、「こいつは罪を犯したのに反省もしていない」と裁判官の心証が非常に悪くなる。
ただでさえ、検察が刑事起訴した事件は、えん罪だろうと何だろうと有罪率99.9%と言われるほど、日本の司法は腐っている。
※推定無罪という刑事裁判の基本原則も、わが国では機能しないのだ。
だから、刑事起訴された被告人は、罪を軽くしてもらうために罪を認めるほかない。 弁護士も被告人の人権保護や利益を優先して考え、減刑や執行猶予をとろうと、罪を認めて裁判官への心証が良くなるよう弁護する。(これは別に悪いことではない)
そうなると、たとえ人権侵害の悪法があっても、刑事事件からはなかなか憲法違反を主張して争えない。
もし争ったとしても、刑事起訴されたという事実だけで裁判官への心証はすでに悪いうえに、さらに司法消極主義も強く影響して、よほどの悪法でないかぎり法律が人権侵害だと判断されることはない。
肝心の法曹も、これに異を唱えられるだけのスキルがない。野放し状態だ。
これからも、わいせつ物頒布等罪で逮捕される犠牲者が増え続けることだろう。
国会の政治的事由
長らく政権をとっているのは自民党だ。(と公明党)彼らは大企業の株主など富裕層、医療業界、いわゆるお金持ち達によって支持されている。
富裕層は自民党に資金を提供するなど自民党を裏で支えている。*このような政治的連合をコーポラティズムという。
自民党は富裕層のご機嫌をとる必要があるし、逆に機嫌を損ねることはできない。
彼らが推し進め、特に1980年代から加速し、今の日本をも支配している政治思想は、新自由主義 -Neoliberalism- である。
国家はなるべく国民に介入せず、福祉や教育、いわゆる弱者救済よりも自己責任論が掲げられる。修正なき資本主義。経済面ではアダム・スミスのいう見えざる手だ。
自民党も小さな政府を目指している。福祉を切ったり富裕層を優遇したりしてるよね。
富裕層にとっては無修正なんてどうでもいい。そんなことより、「法人税を下げてくれ(=その分は消費税を上げればいい)」、「ビジネスがやりやすくなるように軍事力を上げてくれ」などの法律を充実させることに必死だ。
そんな政党が与党として国会のほとんどを占めているのだから、人権を守ってくれる法律、福祉や教育が充実するような行政活動が充実するはずはない。
そもそも国会に無修正を解禁するために真剣に動いてくれる議員も少ない。というか、たぶんいない。
もし、国民の人権だと掲げて真剣に国会で議論をする議員がいたとする。
無修正を実現させるべく議論したその議員は、必ず社会的に男からも多くの女性からも叩かれるだろう。
「いつも男はそればかりだ。そんなことより、もっと重要な政策があるだろうが!?この大事な時期に何が無修正だ!」
などなど。
そんなバッシングがネットに投稿されれば、途端にわが国で動く知性の通ってないBot達は、それはもうコンピューターワームに感染したかのごとく一気に誹謗中傷の嵐を巻き起こしていく。
信用・信頼が重要な議員にとって、それは致命的である。議員にとって恐ろしいことこの上ない。絶対に避けなければならない状況だ。
だから、誰も手を出そうと思えない。触らぬ神に祟りなしってね。
そんなこんなで、もう何十年も昔から、国会には期待できない社会になってしまっているのだ。特に自民党が政権をとっている間は……
とはいえ、諦めていいわけではない。
国会への働きかけは有意義だし、最も重要なプロセスだ。一応は民主主義の国なのだから。
このような背景もあって、無修正はいつまで経っても禁止されたままなのである。
※何度でも言うが、法曹が無能なのがいちばん気持ち悪い。法曹の質がマシ程度にでも高ければ今頃モザイクはない。
できること
僕ら市民はいくつかのアクションを起こせる。
① 国会へ陳情書を送る。(請願権の行使)
② 議員を通して請願する。(請願権の行使)
③ 署名を募るなど賛同者を増やす。(請願へつなげる)
④ 法曹の意識を改革し法律の解釈を変える。(不可能に近い)
⑤ 憲法訴訟をする。(刑事裁判は非現実的)
⑥ アムネスティなどの人権団体、国連に人権侵害の報告。(期待は薄い)
⑦ そのほか。
個人的に、人権団体や国連人権高等弁務官事務所などにはアプローチ済み。
そんなことより、注目ッ!
つい最近、すでに②と③を行動済みの勇気あるアクティビストを見つけたのだ!
www.change.org
このように、すでに活動している人や団体を支援したり参加したりするのが、最も効率が良い方法である。
実現を求める声が集まれば、それだけいろんな議員に請願を依頼しやすくなるし、立法を促しやすくなる。
ぜひ、賛同しよう。(僕も賛同済み)
(Pixivにこの記事へのリンクを貼る予定)
Pixivから来てくれた賢者のみなさん、ぜひ、このひとの活動に賛同してほしい。しかも長期的に♡
観る側、作る側問わずイラストに関わるすべての人にとって、大切なことだと思う。
社会を変えるには、小さなことでも自分ができることをやるしかない♫
僕は司法からもアプローチをおこなう予定だ。普通の人は、裁判なんて一生のうち一度体験するかどうか。僕のように法的スキルが相応にあり民事裁判を何度でも挑めて、負けてもノーリスクな人なんてそうはいないだろう。
まるでインクアーマーをまとってバレルスピナーで戦うようなものだ。
あ、スプラトゥーンで例えちゃった(ノω・)テヘ
そういうことが自分にできるのなら、やらない手はない。
(´ 。•ω•。)っ🍵~㌧