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弁論スキル:最強の論破法


修辞学(レトリック)における必須スキルを書こう。
……と、その前に基礎の基礎を挙げる。

  • 議論は相手を言い負かすことが目的ではない。真理の究明にある。
  • 意見・主張・推論には、必ず根拠を持たせること。(一時的な感情にも実は根拠がある)

最強の型

ひとことで言ってしまえば、

相手の主張を採用しても、こちらの主張が正しいことを述べる。

である。

つまり、 主張Aと主張Bが対立していたら、自分は当然に主張Aを述べるけれども、相手の主張Bを採用したとしてもこちらの方が優れている/目的を達成できる/矛盾がない、ということを突きつけるわけだ。

基本は、相手の主張の根拠を崩し、自分の論の正当性を述べること。 ただ対立する意見を併存させるだけでは意味がない。 主張の正しさを審判する者がいる場合は特に、その者の気分次第で決まるただのギャンブルになってしまう。 修辞学の先駆者:香西秀信氏がディベートにあまり肯定的でないのはこれが理由だ。

「異なる意見にも耳を傾けて相手を尊重しましょう」などというお道徳対人関係では重要だが、推論の世界でやるべきではない。徹底した分析が求められる。

※たとえば、宇宙論でインフレーションを提唱した佐藤勝彦氏が「インフレーションは起きたんだ。でも、あなた達の言うとおりビッグバンだけだったかもしれない」などと言っただろうか?笑

「なるほど」と理解しても、やってみると実際は難しい。

相手の主張の根拠を崩す、と言われてみれば簡単だが、そのためには、まず、前提を見抜かなければならず、そのためには論理的思考のみならず批判的思考も必要になる。

テーマによっては、ただ見えている前提だけでなく、「隠れた前提(アサンプション)」まで見抜く必要もある。 たとえば、人権、自由、社会問題、差別、など多数派によって支持されているものを、常識や価値観から崩さなければいけないものを論じようとすれば、この能力は必要不可欠だ。

少し「相手の論(根拠など)を採用する」ことをやってみる。
テーマは、最近Twitterなどで騒がれた「赤いきつねのCMがエロい」がよさそう。

赤いきつねCMがエロい論争

(わかりやすく男と女にしておく)

まずこのCMの是非はともかく、
女:「CMがエロい。」=CMとしてふさわしくない
男:「CMはエロくない。」=CMとして問題ない
で対立しているようだった。

僕は男だし、あのCMを観たところ、別にエロさや性的な表現があったとは受け取らなかった。
男「CMはエロくない」の立場を取ろう。
だとすれば、CMがエロくない理由・根拠を添えて、「あのCMのどこがエロいんだ。エロくないじゃないか」と激論を交わすのだろう。

さて、簡単にだが「相手の論を採用する」ことをして、相手の論を崩してみよう。

前提を崩す例

~省略~
これらの理由で赤いきつねCMはエロくない。

そもそも、赤いきつねのCMが「エロい/性的な表現を用いていた」としても何も問題がない。

CMとは本来、全国的にテレビで放送される性質を持つ。

「性的な表現がされた」のであれば、そのターゲットは男だといえる。

統計局の統計によれば、男女の人口が、男が約6,211万人、女が約6,482万人である。

すなわち、「CMがエロかったとしても、日本の人口の約半分にアピールし影響を与えている」ことになる。

CMのうち、人口の半分にアピールするCMなど他にあるだろうか? 車のCMは車を購入しようとする者へのアピール、といった具合に、特定の範囲に対する影響力がほとんどのはずだ。

また、男はたいてい「エロ」に関心が強く、影響を受けやすい。 赤いきつね食べる女の子のしぐさに「セクシー」「かわいい」と感じることで、赤いきつねのイメージも向上し、食べたくなる。といった購入意欲が湧くことが容易に想像できる。

だとすれば、人口の半分という広範囲にまでアピールできたCMは、広告:CMとして大成功だと言わざるをえない。

よって、赤いきつねCMはエロくないし、多少のエロさがあったとしても何も問題はない。相手の主張は前提から誤りであり採用すべきではない。


こんな感じか。前提を崩すということは簡単に言ってしまえば、

問題を捏造するな!とさえ言えてしまう。

僕は社会問題は捏造できる、と考えているのだが、現代の日本は特に、問題でないことも問題にして攻撃したり、火がつけば勢いのまま問題視されたりすることが増えている気がする。

まとめ

※これはあくまでふと思いついた一例であって、他にも色々なテーマや推論のしかたがあるはずだ。

対立した相手を言い負かすことに何も意義がないことがわかる。 その場で相手を言い返せなくしたところで、自分はスッキリするだろうが、何も生み出さない。

赤いきつねCM論争ならば、エロいかどうかなんてどうでもよく、そもそもそれを問題視する必要があるのか、という前提を明らかにすることに意義があるだろう。

逆に、たとえ討論で負けたとしても、真理の発見があったならば、それでいいのだ。

特に日本人は、「7割がイエスなら俺もイエス~」というクソ野郎その主張の多さ(衆人に訴える論証)、立場・権威(権威に訴える論証)などによって論じられるものに非常に弱い。根拠が薄弱なのに勢いだけ大きい主張もかなりある。(法律もそのひとつだろう)

相手の主張を採用しても成り立たないことを示すためには、相手の根拠や前提を崩さなければできない。

そう心がけることで、世の中のすべての情報に対し、前提を見抜くことに敏感になり、能力が向上し、情報の精査ができるようになる。

現代の日本人は特に、こうしたスキルを身に着ける必要がある。

(´ 。•ω•。)っ🍵~㌧